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プロ野球開幕 地上波放送とネット全試合配信の狭間で

プロ野球開幕で、自分が応援する球団の試合をテレビで見れるか?

 今日6月19日、国内の多くのプロスポーツの先陣を切ってプロ野球が開幕します。多くの人から注目されている開幕戦は、ネット配信と並行して、多くの地上波のテレビ局でも地元の球団の開幕戦を放送します。

 

 対戦と試合会場は次の通りで、試合開始は18時一斉です。

セ・リーグ

・巨人ー阪神(東京ドーム・東京都文京区)
・ヤクルトー中日(神宮球場・東京都新宿区)
・横浜ー広島(横浜スタジアム・神奈川県横浜市

パ・リーグ

・西武ー日本ハムメットライフスタジアム・埼玉県所沢市
オリックス楽天(京セラドーム大阪・大阪府大阪市
ソフトバンクーロッテ(PayPayドーム・福岡県福岡市)

 

 この対戦を、それぞれの球団がフランチャイズしている都道府県別に、放送するカードをまとめると次の通りのなります。

 

北海道(日本ハム) ※札幌地区
・西武ー日本ハム 札幌テレビ 17:50〜20:54

宮城県楽天
・巨人ー阪神 テレビミヤギ 17:50〜20:54
オリックス楽天 NHK総合 19:00〜20:44

埼玉県(西武)
・巨人ー阪神 日本テレビ 17:50〜20:54
・西武ー日本ハム テレビ埼玉 18:00〜21:00

千葉県(ロッテ)
・巨人ー阪神 日本テレビ 17:50〜20:54

東京都(巨人・ヤクルト)
・巨人ー阪神 日本テレビ 17:50〜20:54

神奈川県(横浜)
・巨人ー阪神 日本テレビ 17:50〜20:54
・横浜ー広島 神奈川テレビ 18:00〜21:30

愛知県(中日)
・巨人ー阪神 中京テレビ 17:50〜20:54
・ヤクルトー中日 東海テレビ 20:00〜20:54

大阪府オリックス
・巨人ー阪神 読売テレビ 17:50〜20:54

兵庫県阪神
・巨人ー阪神 読売テレビ 17:50〜20:54

広島県(広島)
・横浜ー広島 広島テレビ 18:00〜20:54

福岡県(ソフトバング)
・巨人ー阪神 福岡放送 17:50〜20:54
・ロッテーソフトバンク テレビ西日本 19:00〜20:59

 

※データは、YAHOOの「テレビ」欄の6月19日現在の情報

放送時間延長枠については含まれていません。

プロ野球の地上波テレビ時代とDAZN等ネット配信時代の違い

 プロ野球は、昨年から全試合がDAZNでネット配信されています。またパ・リーグの試合は、パリーグTVでも全試合を配信しています。

 時代は、地上波での特定の球団の試合を中継から、CSでの全試合中継の時代を経て、ネットでの全試合配信の時代への移りつつあります。

 地上波の時代と、CSやネット配信の違いはローカル性と課金システムにあります。

 CS放送やネット配信は受信環境での個人個人の差はありますが、原則、全国で一斉に視聴することができます。一方、地上波は電波の特性上、届く距離に限界があるので、全国のテレビ局がネットワークを結んで全国で番組を視聴できるようにします。この配信元となるテレビ局がいわゆるキー局で、現在は在京民放局の5局がそう呼ばれ、その他に大阪、名古屋、福岡、仙台、札幌など全国の大都市にある準キー局と呼ばれるテレビ局もありますが、現在はキー局や準キー局からだけでなく、地方局からも発信が可能になっていて、その最も特徴的なコンテンツがスポーツ中継です。

 例えば、関東のローカル局が制作したプロ野球Jリーグの中継映像を、地方の準キー局が放送することも可能になっています。

 一方、エリアや都道府県ごとにテレビ局があることで、エリアや都道府県ごとに違ったコンテンツを放送することができます。その結果、地域や都道府県のニーズを吸い上げて、そのニーズを放送内容に反映することができるのが、地上波の本来持つ長所です。

 全国に同じコンディションで全てを配信すること前提にしているネット配信と、限られた枠の中でニーズに合わせて選択した情報を送り出す地上波のテレビでは、ベースとなる理念が異なるのです。

 課金については、CS放送も動画配信もプロ野球というコンテンツにお金を払うシステムです。無料放送が原則の日本の地上波とは、明らかにビジネスモデルも、見る側の意識も異なります。

 また、日本でも元々難視聴対策だったケーブルテレビが一般に普及し、加入者数を伸ばしています。多くのチャンネルの持つケーブルテレビは、BS放送CS放送各局のチャンネルを持ち、例えば大手のJcomの場合、そうしたチャンネルを合わせてプロ野球チャンネルとして契約することで、プロ野球の全ての試合をLIVEで見ることが可能になります。ネット配信時代に先駆けて課金システムを普及させた功労者と言えるかもしれません。

浮かび上がる地上波テレビ局と球団の距離感

 11の都道府県を合わせると全てのカードが放送されていますが、フランチャイズのある都府県で、地元の球団の試合を見ることができない都府県が3つあります。ロッテの千葉県、ヤクルトの東京都、オリックス大阪府です。

 通常であれば、地元の試合は球場で、遠征している試合はテレビや動画配信でという考え方もありますが、しばらくは無観客での開催になりますから、環境によっては、せっかくプロ野球が開幕しても、好きな球団の試合を見ることができない人がいるということになります。

 阪神の人気が圧倒的な関西地区はともかく、ロッテがフランチャイズする千葉県やヤクルトがフランチャイズする東京都ではそれなりの人気があり、これまでローカルテレビ局のチバテレビや東京MXで中継されていたはずですが、注目されている開幕戦で、しかもオリックス戦を含む3試合ともが地元開催にも関わらず、放送されなかったのはどのような事情でしょうか。

 また、人気球団がありながら放送時間が短いのが、楽天のある宮城県と中日のある愛知県です。宮城県楽天戦はBSNHKでの放送もあり、地上波ではサブチャンネルでその後の時間も放送されるようですが、中日戦はわずか1時間の放送枠です。

 このあたりの状況を見ると、ネット配信での試合観戦への移行は想像する以上に進んでいて、地元球団の試合でも、ゴールデンタイムに相応しい視聴率が望めないコンテンツになっているのかもしれません。

 逆に、巨人ー阪神戦は日本ハムのある北海道と広島カープのある広島県以外、全ての都道府県で放送されています。巨人が圧倒的な人気を誇った1990年代以前に戻ったような状況ですが、全試合を放送しているCS放送やネット配信のデータでは、12球団の中で巨人戦だけが全国的に際立った人気があるわけではないので、読売グループがマーケティングを無視して意地を張ったか、逆に今年の注目を利用して人気獲得の戦略に出たかのいずれかでしょう。

 一方、巨人戦が放送されない北海道と広島県は、地元の日本ハム戦や広島戦を放送するテレビ局が日本テレビ系で、他の放送局では巨人戦が放送できないというのが、この2つの道県で巨人戦が放送されない実情だと思われます。ダブルブッキングの末、巨人戦が捨てられたということです。視聴率を考えれば選択の余地はないでしょう。

 

 開幕が3ヶ月近く遅れ、交流戦など試合数も減ったプロ野球ですが、例年以上の注目が集まり、期待が高まる中での開幕に相応しいシーズンを送れるかどうか。注目のシーズンが始まります。