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いだてんとオリンピックと・・・

 毎週日曜日の8時からNHKで全国放送されるいわゆる「大河ドラマ」。1963年に始まったこの枠は、朝の連続テレビ小説と並ぶNHKの看板ドラマです。最近では他局になくなった1年間放送であることも特徴です。
 68作目となった今年の作品「いだてん〜東京オリンピック噺〜」はこれまでにない苦境を迎えているようです。

www.nhk.or.jp

 テーマはそのタイトル通りオリンピック。日本が初めて参加した1912年第3回ストックホルム大会から1964年の東京大会まで、その実現を目指した人物像が描かれています。言うまでもなく来年開催の2020年大会に引っ掛けた作品です。

 脚本家に数々の高視聴率ドラマを手がけてきた宮藤官九郎を満を持して登用。主演の中村勘九郎阿部サダヲにほか豪華俳優陣をキャスティングして、大きな期待を持って今年1月にスタートしました。しかし視聴率はこれまでの大河ドラマにない低空飛行で、10月13日にはラグビー日本代表が念願のグループリーグを突破したスコットランド戦の中継の裏で、3.7%と深夜ドラマ並みの低視聴率を記録したそうです。

 このドラマの視聴率が低い理由の第1には、ストーリーの分かりづらさが指摘されています。豪華キャスティングと数の多い登場人物、時間軸も登場人物も異なる複数のストーリーが絡み合いながら、回想を多用する構成は確かに分かりづらい。ただ、これが官九郎の脚本だと言ってしまえばそれまでで、官九郎が好きな世代と大河ドラマの鉄板層がずれているということになるかもしれません。

 さらに歴史上の偉人を主人公にしないしかも近代史をとりあげた大河は苦戦するというパターンがあります。1980年の「獅子時代」では、当時人気絶頂の脚本家山田太一を迎え、菅原文太加藤剛のダブル主演で、明治維新の無名の群像劇を放送しましたが、当時としては大苦戦をし多くの批判を浴びました。近年では、2013年明治初頭、同志社大学の創立に尽力した新島八重を日本トップ女優と言っていい綾瀬はるかが演じた「八重の桜」がやはり苦戦してます。大河ドラマファンのニーズとのミスマッチということかもしれませんね。

 史上例を見ないほどの苦戦をしている「いだてん」を再評価しようという記事が、最近アップされました。かなり長い記事ですが、ぜひ読んでみてください。

lite-ra.com

 スポーツとナショナリズム、オリンピックとナショナリズムという、避けては通れない大きなテーマに、オリンピックを取り巻く歴史的な事実と共にしっかり向き合っていることがよくわかると思います。


 この記事に書かれている13日の放送あと、27日の放送でもこのテーマにブレはありません。
 近代オリンピックが、普仏戦争の戦乱からフランス、ヨーロッパを立ち直らせるためにクーベルタン男爵に創案されたことに触れた上で、主役で1964年東京オリンピック開催の立役者、阿部サダヲ演じる田畑政治は、「日本はアジアでひどいことをやってきたから、面白いことやらなければいけない」と語ります。このおもしろいこととは人々がワクワクすることを指しているのでしょう。そのワクワクすることがアジア初のオリンピック開催なのです。
 こうして開催が実現した東京オリンピックは、日本が平和国家として歩むことを世界に宣言するイベントになります。きっとそうしたことも今後の放送で取り上げられることでしょう。

 

 このドラマも放送も残り約1ヶ月。機会があったら皆さんも見てみてください。